特殊高度診療機能

小児医療センター

小児医療センター

日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院は、1984年9月、高度かつ専門的な小児疾患の診療を目的として愛知県からの補助を受けて開設されました。以来、総合病院内の小児医療施設としての特質を活かして新生児、血液腫瘍、循環器、神経、内分泌、小児外科系疾患、救急などの各分野におきまして軽症、重症を問わず日夜診療を続けています。当小児医療センターは、名古屋市西部および西尾張地方における中核的小児医療施設であるばかりでなく、全国34カ所の小児専門病院などで構成された全国小児総合医療施設協議会の一員でもあります。また、新生児医療に関しては愛知県より総合周産期母子医療センターの指定を受け、さらに血液・腫瘍性疾患医療に関しては厚生労働省より造血幹細胞移植推進拠点病院の指定を受けています。
 当センターの病床数は108床であり、西病棟7階の一般床60床と同6階の新生児病棟48床(NICU18床およびGCU30床)で構成されています。西病棟7階は非感染症用病床35床(西7階A)と感染症用病床を含む25床(西7階B)とがゾーン別に配置され、病棟内での感染防止に配慮しています。この西7階Aにおいては血液腫瘍性疾患に対する化学療法や造血細胞移植などの無菌環境が必要な専門的治療、循環器・神経・内分泌疾患に対する各種検査や治療、さらに小児の外科的疾患(小児外科、脳神経外科、耳鼻咽喉科、眼科、整形外科など)の診療を行っています。西7階Bにおいては急性感染症を中心に一般的な小児疾患の診療を行っています。また、日常的に多くの処置を必要とする患児に対しては、同病棟内のハイケア病室にて集中的管理を行っています。新生児病棟では産婦人科と緊密な連携を維持しながら周産期医療に当たっており、病的新生児に対する急性期の集中的治療のみならず、在宅治療や後方病院への転院など、慢性期医療へのスムーズな移行についても対応しています。
 当センターに入院中の患児に対して、疾患の治療だけでなく、制約の多い入院生活の中でもできる限りの安心と喜びを分かち合える環境の維持に努めています。その一環としてプレイルームでの保育士やボランティアによる遊びの提供、院内学級への通学、病棟内食堂スペースなどの設備的な環境、臨床心理士による患児本人およびご家族に対する精神的苦痛の緩和などに対応しています。
 当センターでは、豊富な人数の日本小児科学会小児科専門医・指導医と小児科専門研修専攻医が診療・教育・研究に携わっています。また、小児科内サブスペシャルティ領域の専門医・指導医も各分野の診療・教育・研究に力を発揮しています。毎年度最大5人の小児科専門研修専攻医を受け入れる体制が整えられ、将来の小児医療を担う人材が育成されています。

小児一般の実績

年間入院数の推移

入院患者数 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
1137 940 1050 961 400

年間入院数(2019年)

大分類 小分類 入院数
呼吸器疾患 381
  上気道炎 68
  下気道炎 308
  その他 5
感染症 47
  リンパ節炎 11
  髄膜炎 1
  その他 35
消化器疾患 132
  感染性腸炎 69
  虫垂炎 13
  腸重積 9
  幽門狭窄症 2
  炎症性腸疾患 3
  嘔吐症 13
  膵炎 0
  その他 23
内分泌・代謝疾患 9
  糖尿病 3
  尿崩症 0
  その他 6
神経・筋疾患 154
  熱性けいれん 67
  てんかん 34
  脳炎・脳症 9
  痙攣重積 10
  筋疾患 4
  その他 30
大分類 小分類 入院数
循環器疾患 66
  先天性心疾患 24
  川崎病 40
  不整脈 1
  心筋症・心筋炎 0
  その他 1
アレルギー疾患 81
  気管支喘息 71
  アナフィラキシー 9
  その他 1
腎疾患 38
  尿路感染 34
  ネフローゼ 1
  腎炎 0
  その他 3
自己免疫疾患 12
  IgA血管炎 12
新生児関連 12
  新生児黄疸 9
  その他 3
先天奇形・染色体異常 7
その他 22
  虐待 0
  誤飲 6
  溺水 1
  不明熱 6
  鼠経ヘルニア嵌頓 2
  その他 7
合計 961

血液・腫瘍の実績

過去3年間の診療実績

疾患別入院患者数の推移(かっこ内は新規診断数)

横スクロールでご覧ください。

  2017年 2018年 2019年 2020年
急性リンパ性白血病 74(14) 89(10) 101(12) 102(10)
急性骨髄性白血病 53(7) 29(6) 20(7) 28(8)
慢性骨髄性白血病 2(1) 2(0) 0(0) 1(1)
悪性リンパ腫 2(1) 3(0) 5(2) 2(2)
骨髄異形成症候群 9(2) 2(0) 9(1) 6(1)
造血不全症 17(1) 8(3) 4(2) 4(3)
特発性血小板減少性紫斑病 10(3) 16(8) 9(6) 3(3)
血球貪食症候群 0 0 1(1) 1(1)
血友病 3(0) 1(0) 2(1) 2(2)
ランゲルハンス組織球症 0 1(1) 7(2) 5(2)
その他血液疾患 7(1) 11(2) 13(4) 14(13)
脳腫瘍 42(5) 34(9) 23(4) 51(11)
神経芽腫 4(0) 11(3) 28(1) 19(2)
肝腫瘍 2(1) 0(0) 0(0) 0(0)
腎腫瘍 2(1) 1(0) 1(1) 0(0)
その他固形腫瘍 3(0) 1(1) 1(1) 4(4)
副腎白質ジストロフィー 2(1) 1(0) 3(0) 0(0)
ムコ多糖症 12(1) 1(0) 2(0) 4(1)

造血細胞移植件数の推移

横スクロールでご覧ください。

  2017年 2018年 2019年 2020年
同種造血細胞移植 14 10 6 13
自家造血細胞移植 1 2 2 0
合計 15 12 8 13

骨髄採取件数

横スクロールでご覧ください。

  2017年 2018年 2019年 2020年
骨髄バンクドナー 5 4 6 4
血縁ドナー 4 6 5 4
合計 9 10 11 8

血液・腫瘍の特徴

小児血液・腫瘍科が診療対象とする疾患は多岐にわたりますが、その中心は白血病を代表とする「小児がん」の診療です。
 当科は小児白血病の新規患者数が愛知県で最も多く、造血細胞移植件数も現在までに700例を超え、その実績は国内有数です。2013年度からは厚生労働省より、造血幹細胞移植推進拠点病院に認定され、造血細胞移植医療における人材育成、コーディネート支援、地域連携推進の役割も担っています。

造血幹細胞移植推進拠点病院

血液悪性疾患の治療は、主に化学療法と造血細胞移植から成ります。当科では、日本小児がん研究グループ(JCCG)に所属し、それぞれの疾患に対する多施設共同臨床試験に基づく治療プロトコールを施行しています。また、再発のリスクが高い症例や難治症例に対しては、造血細胞移植を行っています。
 神経芽腫や脳腫瘍などの固形腫瘍疾患の治療においても、JCCGに属する各固形腫瘍研究グループによる臨床試験に基づき、小児外科医・小児脳神経外科医による手術、化学療法、放射線療法、自家末梢血幹細胞移植を組み合わせた集学的治療を行っています。
 当科における造血細胞移植の特徴として、移植関連合併症の軽減を目指した前処置法や支持療法の工夫があり、移植関連合併症予防に積極的に取り組んでいます。近年、生存率の向上とともに移植関連合併症死亡率の著明な改善を認めています。また、治療法の進歩により小児がん患児の約8割に治癒が期待できるようになり、将来的には、成人人口の0.1〜0.2%が小児がん経験者になると予想されています。小児においては病気を治すだけでなく、成長障害や不妊、二次がんといった晩期合併症を可能な限り減らすことが今後の課題であり、当科では晩期合併症の軽減を目指した強度減弱前処置による造血細胞移植にも取り組んでいます。さらに、化学療法後や造血細胞移植後のフォローアップ体制拡充にも力を入れ、移植後長期フォローアップ(Long term follow up:LTFU)外来を開設しました。

長期フォローアップ外来

造血細胞移植は、再生不良性貧血や遺伝性骨髄不全症候群などの造血不全症、副腎白質ジストロフィーやムコ多糖症などの先天性代謝異常疾患に対しても行っており、当科では日本国内各地からのご紹介を受け入れています。小児がんについて詳しくは「国立がん研究センター小児がん情報サービス」をご覧ください。

無菌治療室、骨髄移植

臍帯血移植

循環器の実績

2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
入院症例数 73 55 56 20
心エコー図検査 3578 3473 3406 3308
トレッドミル検査 34 32 39 6
ホルター心電図検査 70 58 74 121
心臓カテーテル検査 22 25 15 10
川崎病 46 47 40 15

循環器の特徴

当科は県内の循環器専門施設として、近隣施設と連絡を取りながら診療を行っている歴史あるチームです。胎児期診断では産婦人科と、成人に達した症例は循環器科と連携しながら診療を行っています。
 手術が必要な症例は、平時より連絡を密にしながら、期を逸することなく中京こどもハートセンターやあいち小児保健医療総合センターに紹介しています。
 心臓カテーテル検査は術前術後評価のほか、冠動脈評価、肺高血圧評価、動脈管コイル塞栓などの診療を積極的に行っています。患者さんの負担が少ない、非侵襲的検査(MRI、CT、シンチ、運動生理検査)やMICS手術(小さい傷口での開胸手術、特に心房中隔欠損症)にも力を入れています。

心臓カテーテル検査

神経の実績

外来受診者数:延べ200〜250人/月

(うち、てんかん120〜150人/月)、在宅呼吸器管理患者数 約20人

新規患者数:100人(2020年度)

 分類 人数
てんかん/発作性疾患 48
頭痛 8
不随意運動(ジストニア、チックなど) 7
自律神経障害 5
神経発達症(自閉症スペクトラム性、ADHなどの精査目的) 4
精神運動発達遅滞(精査目的) 4
周産期神経疾患(脳性麻痺など) 3
その他 21

入院(神経筋疾患の検査、治療):延べ約100人/年

分類 2019年度 2020年度
熱性けいれん 70 22
てんかん/発作性疾患(検査入院含む) 43 42
脳炎・脳症 8 0
神経系感染性 1 5
その他の神経・筋疾患(検査入院含む) 17 12

脳波:約800件/年、

 長時間ビデオ脳波:10~20件/年

 新生児脳波:300~400件/年

 血液疾患の脳波60~80件/年

MRI:約50件/年

その他、血液・腫瘍領域、新生児領域で通院・入院している患者さんの神経症状に関する検査・治療も行っています。

神経の特徴

名古屋市西部、西尾張地方においては数少ない、小児神経専門医および小児神経科の常勤医が複数在籍する基幹施設として、地域のかかりつけ医と連携を行い、地域に根差した診療に心掛けています。急性疾患については軽症から重症まで受診を受け入れています。慢性期管理や増悪時の治療も積極的に行っています。リハビリや訓練(OT、PT、ST)については地域の療育センターやリハビリ病院へ紹介させていただいています。当院は県内有数のNICUと血液腫瘍治療施設を有するため、血液・腫瘍疾患や、重症心身障がいを有する患者さんが集約しています。これらの患者さんにしばしば見られる神経疾患および合併症の診断、治療を数多く行っています。てんかん難治例や希少疾患については、東海地方の各大学病院やてんかんセンターと連携しており、臨床研究にも積極的に参加しています。てんかん外科治療適応症例については当院脳神経外科と連携して手術を含めた治療を行っています。検査設備も充実しており、通常脳波、長時間ビデオ脳波同時記録(入院検査)、筋電図、末梢神経伝導検査、誘発電位といった生理検査や、MRI(3T)、FDG-PETなどの画像検査を外来あるいは入院で迅速に行うことができます。脳神経内科、脳神経外科などと定期的にカンファレンスを行い、共同して診断治療を行っています。

内分泌の実績

外来受診者数(患者実数):年間300~350人

疾患別の外来症例数(主病名で集計)

  2018年
体質性低身長 66
成長ホルモン分泌不全性低身長症 16
SGA性低身長症 17
染色体異常・遺伝性疾患に伴う成長障害 14
その他の成長障害 10
体質性高身長 4
思春期早発症 30
思春期遅発症 7
その他の思春期発来異常 20
先天性甲状腺機能低下症 10
バセドウ病 10
橋本病 4
その他の甲状腺疾患 13
副甲状腺機能低下症 2
先天性副腎過形成症 3
他の副腎皮質機能低下症 6
汎下垂体機能低下症 7
1型糖尿病 16
2型糖尿病 2
他の糖代謝異常 6
肥満 4
高コレステロール血症 4
小児がん経験者(上記とは別に集計) 43

内分泌の特徴

 内分泌(ホルモン)は小児の成長に大きく関わっています。副腎、下垂体、糖代謝などは生体の維持に必須でもあります。疾患によっては、長期にわたる治療、終生の治療が必要です。成長が順調であるかを常に見守りながら、必要な治療を考えていきます。
 また、小児がん経験者の晩期合併症として内分泌異常があることが近年分かってきており、小児血液・腫瘍科と連携して該当する児のフォローアップも行います。
 これまでの成長の記録を確認することで、重要な情報を得ることができます。初めての受診の際は、母子手帳や学校健診の記録(通知表など)をお持ちいただきますよう、よろしくお願いします。

アレルギーの実績

外来受診者数(延べ人数):年間250名

疾患別の外来症例数(主病別)

  2020年
アトピー性皮膚炎 10
食物アレルギー 36
気管支喘息 27
アレルギー性鼻炎 2
特発性蕁麻疹 5

アレルギーの特徴

出生後に乳児湿疹から始まりアトピー性皮膚炎、食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎と年齢と共に様々なアレルギー疾患を発症します。

いずれのアレルギー疾患もしっかりと治療管理し病状を落ち着けることで母子ともに生活の質を向上させることが可能です。例えば、食物アレルギーでは血液検査である食品の抗体価が上昇していても、実際には摂取が可能なお子さんもいます。そういったお子さんには病院で被疑食品を実際に摂取してみて症状が誘発されるかどうかを見る検査で摂取可能量を知ることができ、これにより不必要な除去を避けることができます。

また気管支喘息では命の危険を脅かす発作を起こさないためにも普段からの管理がとても重要になってきます。

多くの方は複数のアレルギー疾患をお持ちですのでそれらを包括的に診させていただき、一人一人に合った管理方法を本人とご家族と一緒に模索していければと考えています。初診の際には今までのアレルギー疾患に関する病歴を伺いますので、過去に行った血液検査や負荷試験等の結果がありましたらご持参いただきますようよろしくお願い致します。

新生児の実績

最近10年間の診療実績

全入院数 出生体重
        〜999グラム
出生体重
1,000〜1,499グラム
2010年 605 44 54
2011年 586 42 37
2012年 619 48 41
2013年 620 43 42
2014年 597 46 52
2015年 635 47 54
2016年 603 44 54
2017年 575 32 45
2018年 620 29 45
2019年 641 50 34
2020年 548 35 43

令和2年度総合周産期母子医療センター総括(新生児部門)(PDF)

新生児の特徴

新生児診療専任医師が、小児科専門研修専攻医とともに夜間・休日も2人以上で新生児集中治療を担当しています。これにより昼夜を問わない分娩や緊急帝王切開あるいは急変する重症新生児に対して、安全に対応することができます。
 高頻度振幅換気を含めた人工換気療法、遷延性肺高血圧症に対する一酸化窒素吸入療法、nasal CPAPの多用、臓器血流を重視した循環管理、未熟児動脈管開存症の治療、積極的中心静脈栄養および早期授乳、新生児低酸素性虚血性脳症に対する低体温療法、プロバイオティクスの導入、母乳支援、デベロップメンタルケア、痛みに対するケア、感染対策など、新生児の予後を改善するためにNICU/GCUスタッフ一同で取り組んでいます。新生児消化器疾患・未熟児動脈管開存症・新生児脳神経外科疾患などの外科的治療にも対応できます。
 産科病棟とバースセンターで出生する正常新生児の健診を担当しています。年々増加しているフォローアップ患者さんに対しては、臨床心理士の協力を得ながら評価、支援を行っています。RSウイルス感染症予防目的のパリビズマブは、毎年のシーズンに外来枠を設けて投与しています。SGA性低身長に対する成長ホルモン治療は、主に新生児科で対応しています。予防接種の種類も増加しており、NICU/GCU入院中から投与する機会も増えています。在宅医療の患者さんも年々増加しており、他の小児科や外科系の先生による協力を得ながら感染症などによる急変に対応しています。
 着実にNICU/GCUに入院する児の生命予後は改善しています。今後は長期予後を視野に入れた急性期管理と親子を支援するフォローアップ体制のさらなる充実を図ります。また、病院内外からの新生児研修を受け入れ、将来の新生児医療を担う人材育成も重要な責務と考えています。


NICUフロアー


GCUフロアー

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