詳細な診療情報 産婦人科
重症の妊産褥婦の患者さんを受け入れて治療する施設として、1998年に全国で12番目に指定を受けた当院の総合周産期母子医療センターの母体・胎児部門は、母体胎児集中治療管理室MFICUと西6階A病棟(産婦人科センター)および陣痛・分娩室より構成されています。
婦人科腫瘍部門
婦人科腫瘍部門は西棟12階B(女性センター)、化学療法センターおよび緩和ケアセンターより構成され、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなどの婦人科悪性腫瘍の患者さんの治療を積極的に行っているほか、子宮筋腫、卵巣嚢腫などの治療にも力を注いでいます。婦人科悪性腫瘍の手術は年間約150件あり、系統的リンパ節郭清術を含む根治手術の完遂を基本としていますが、一方で高齢の患者さんや悪性腫瘍が進行した患者さんも多く、手術に限らずそれぞれの患者さんに適した治療法を常に考えて選択しています。
がん治療には手術や放射線療法、抗がん剤を用いた化学療法による初回の治療が重要であることは言うまでもありませんが、不幸にして再発した場合にもあきらめることなく治療を続けることで長期生存が可能な場合があります。このような「がんとともに生きる」診療にも積極的に取り組んでいます。
外来においては若年女性において増えている子宮頸がん、子宮頸部異形成の原因となるヒトパピローマウイルスの検査を積極的に行いつつ、前がん状態と言われる子宮頸部異形成の患者さんの厳重な管理によって子宮頸がんの早期発見、早期治療に努めています。
生殖内分泌部門
当院での不妊治療の特徴は以下の通りです。
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- 一般検査から高度生殖医療(ART)まで可能
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- 体外受精、顕微授精、受精卵凍結保存(基本胚盤胞凍結)、精子凍結保存を行っています。
- 条件を満たす場合には、アシステッドハッチングやヒアルロン酸含有液を用いた胚移植を行っています。
- 悪性腫瘍などの治療を予定している未婚女性に対する未受精卵子凍結保存を行っています(主治医の紹介状が必要です)。卵巣凍結については、適切な施設をご紹介します。→がん・生殖外来
- 熟練した医師、培養士、不妊カウンセラー(助産師)がいます。
- 基本的には保険診療が可能な場合(年齢・回数に制限あり)は、保険での治療が優先されます。
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- タイムラプスインキュベーターでの培養が可能です。 2022年7月に新しい培養室に引越ししました!
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- 内視鏡手術を含めた手術治療が可能
- 総合周産期母子医療センターとの連携が可能
- 他科との連携が可能
合併症をお持ちの方、周産期リスクの高い方にも対応が可能です。
内視鏡手術部門
当院では2005年度より内視鏡手術を本格的に導入し、2013年度より腹腔鏡下子宮全摘出術、2017年夏より腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(体がん)、2019年より腹腔鏡下子宮悪性手術(頸がん)手術、ロボット支援手術を導入しています。それぞれの適応については担当医にご相談ください。
1. 腹腔鏡下手術
お臍から直径5~10mmのカメラを挿入、他に2~3カ所の小さな穴を開けて手術を行います。場合によって2~4cm程度に傷を広げることもあります。傷が小さくて目立たないだけでなく、術後の回復が早い、癒着が少ないなどのメリットがあります。
ただし、開腹術に比べて特殊な技術が必要であり、合併症の頻度が高くなると言われています。また、途中で開腹術に変更されることがあります(当院では1%以下)。
2. ロボット支援下手術
お腹に数カ所の小さな穴を開けて手術を行います。術者(写真左◀)はサージョンコンソールという患者さんから少し離れた場所でカメラや鉗子などを操作しながら手術を行います。 腹腔鏡下手術よりも画面が鮮明で、より精密な手術が可能です。一方で特殊な技術が必要で、相応の訓練を積んだ医師のみが対応しています。
3. 子宮鏡下手術
腟から子宮内に細いカメラを挿入し、通電しながら、病変を切除します。過多月経に対し、マイクロ波を用いた子宮内膜焼灼術を行うことができます。手術の翌日に退院が可能です。
ただし、病変の位置や大きさによって、適応にならない場合があります。また、子宮穿孔、術後の子宮内癒着などの合併症があります。
女性ヘルスケア部門
女性のライフステージに応じた健康管理をサポートする活動を行っています。特に地域のクリニックなどでは管理の難しい疾患や稀少疾患に積極的に取り組んでいます。
- 性分化疾患
ターナー症候群、アンドロゲン不応症などの性染色体異常
子宮・腟奇形などに対する造腟術を含む手術療法 など - 異所性子宮内膜症
膀胱、尿管、鼠径部、臍部、腸管、肺などに生じる内膜症 - 内分泌異常を伴う月経異常
早発卵巣不全、高PRL血症、下垂体機能低下症など
上記以外の疾患についても幅広く取り組みを行っていますが、状態が安定すれば近医でのフォローをお願いすることもあります。
※骨盤臓器脱(子宮脱、膀胱脱など)については、原則女性泌尿器科に受診をお願いしています。