がんの種類と治療

胃がん・大腸がん

胃がんについて

 2019年の日本における胃がんの罹患患者数は、大腸がんと肺がんに次いで第3位であり、ピロリ菌感染者数の減少に伴い徐々に減少傾向ではありますが、依然として多いがんです。

 内視鏡的切除により根治が期待できる早期胃がんに対しては積極的に内視鏡治療を行っています。切除方法はがんの状況や患者さんの状態により最善な方法を選択しています。2センチ以上の大きな病変でも一括での切除「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」を導入し、切除成績の向上を図っています。2021年は65人の胃がんの患者さんにESDを受けていただいています。

 他臓器への遠隔転移や浸潤を認め、外科的切除が困難な進行胃がんに対しては、抗がん剤(S-1、シスプラチン、オキサリプラチン、カペシタビン、トラスツズマブ、パクリタキセル、イリノテカン、ニボルマブなどを単剤あるいは多剤併用)を用いた全身化学療法を行っています。

 患者さんの個々の病態に応じた治療法を選択して受けていただいています。

ガイドライン

胃癌治療ガイドライン 2021年7月改訂【第4版】日本胃癌学会

3センチの早期胃がん(陥凹型)

内視鏡的粘膜下層剥離術による一括切除

早期胃がんの切除標本

大腸がんについて

 大腸がんは2019年の統計では、肺がんと胃がんを上回り一番多いがんです。

 早期の大腸がんは内視鏡的切除により根治ができるものが多く、当院では積極的に内視鏡治療を行っています。小さな病変に対しては外来あるいは一泊の入院で内視鏡切除を行っています。大きな病変に対しては胃と同様に「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」を行っています。大腸のESDは、以前は穿孔などの偶発症リスクが高いとされていましたが、当院では患者さん負担の軽減・安全性向上のために様々な工夫を行って治療しています。幸い内視鏡治療後に出血や穿孔などが原因で緊急手術となった方はいません。2021年は70人の大腸がんの患者さんにESDを受けていただいています。

 他臓器への遠隔転移や浸潤を認めたため、外科的切除が困難な進行大腸がんに対しては、ガイドラインに準じて各種抗がん剤を用いた全身化学療法を行っています。また、進行大腸がんによる悪性大腸狭窄に対しては内視鏡的ステント留置術を積極的に行っています。

 患者さんの個々の病態に応じた治療法を選択して受けていただいています。

ガイドライン

大腸癌治療ガイドライン 2022年版/大腸癌研究会

8センチの早期大腸がん(0-Ⅱa型)

クリスタルバイオレット染色による拡大観察

早期大腸がんの切除標本

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日本赤十字社 愛知医療センター