ゲノム情報を治療と予防に活かす
ゲノム医療は、細胞の染色体に記された遺伝情報の異常に基づく疾患、つまり、遺伝性疾患や“がん”を診療の対象とします。また、周産期医療における出生前診断や着床前診断もその対象です。遺伝情報を明らかにすることで、正確な診断ができ患者さんに合った治療につなげることができます。一方で、遺伝子の変化が明らかになることで、倫理的問題が生じることがあります。そのため、正確な情報提供と意思決定支援のために、遺伝カウンセリングがとても大切です。
臨床遺伝診療科では、「がんゲノム医療」と「遺伝カウンセリング」について、各専門家によるチームにより医療・心理両面から継続的な支援を行っています。
がんゲノム医療
がんゲノム医療とは、がんの組織を用いて多数の遺伝子を同時に調べ、遺伝子の変化を明らかにすることにより、一人一人の体質や病状に合った治療を行う医療です。当院は2018年4月に「がんゲノム医療連携病院」に指定され、名古屋大学医学部附属病院とグループを組み、がんゲノム医療を推進しています。
がんゲノム医療を希望される方については、主治医を交え、各専門家の参加する「がんゲノム会議」(1回/週開催)で適応の有無や検査の種類、結果の解釈、治療方法の探索などの話し合いを行っています。
また、がんゲノム医療にあたっては、「ゲノム医療支援」センターにおいて、患者さんやご家族に対して、がんゲノムコーディネーターによる説明や相談を行っています。
相談日:毎週月~金曜日 9時~16時
場所:相談支援センター2階
遺伝カウンセリング外来
遺伝性疾患は稀な疾患ですが、遺伝子の変化を明らかにすることによって正確な診断や適切な治療を行うことができます。また、周産期医療における羊水検査や非侵襲的出生前診断(NIPT)など出生前診断等のニーズが増加しつつあります。
ゲノム医学の進歩に基づく最新の医療は、患者さんに有益な情報や治療法を与える一方で、遺伝情報が明らかになることにより、患者本人だけではなく家族を含めて新たな不安や悩みを生じる可能性があります。そのような不安や悩みに対応するために、まずは遺伝学的検査を実施する前の正確な情報提供や患者さんにとって最良な選択が行えるような意思決定支援、そして検査結果が分かったあとの社会的・倫理的・心理的なサポートが求められています。当院においてもそのようなニーズに対応するため、遺伝カウンセリング外来を行っています。遺伝カウンセリング外来では、遺伝性の疾患や遺伝についての不安や悩みをお持ちの方を対象として相談をお受けしています。院外の方は医療機関から地域医療連携室へお申し込みください。
なお、対象となる遺伝学的検査が保険適応かどうかにより、遺伝カウンセリングの費用も異なります。
診察日:毎週水・金曜日
診察場所:西棟2階「臨床遺伝診療科」