神経内分泌腫瘍(NEN) について
神経内分泌腫瘍(NEN) とは
神経内分泌腫瘍(NEN)は、ホルモンやペプチドを分泌する神経内分泌細胞に由来する腫瘍で様々な臓器に発生します。なかでも膵臓、消化管、肺に多く発生します。
治療法について
神経内分泌腫瘍(NEN)の治療法として、従来、外科的手術加療や化学療法がありましたが、このたびペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)という最先端の治療が当院でも行うことができるようになりました。
神経内分泌腫瘍(NEN)の表面には、ソマトスタチン受容体が多く発現します。この治療に使用するお薬はソマトスタチンと似た物質に放射線を出す物質を結合させた、ルテチウムオキソドトレオチド注射液(以下、ルタテラ®静注)というお薬です。ルタテラ®静注を投与するとソマトスタチン受容体に取り込まれる性質を利用した治療で、ペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)と呼ばれます。
ソマトスタチン受容体に取り込まれたルタテラ®静注から出る、ベータ(β)線という放射線により腫瘍細胞に障害を与える治療法です。
このベータ線は最大で約2.2mmしか飛程しません。よって、体の中で止まります。
その他にわずかにガンマ(γ)線という放射線を出します。ガンマ線の飛程距離は長いため、体の外に出てしまい周囲への配慮が必要です。
※ノバルティスファーマ株式会社医療関係者サイトより引用
治療のスケジュールについて
治療は8週ごとにおこない、4回受けて頂きます。治療期間は約6ケ月間になります。治療は点滴注射でおこなわれます。副作用があらわれた場合は治療間隔を延長する場合があります。
入院中の注意事項について
体から出る放射線の量が基準値以下になるまで専用の病室で入院が必要です。入院期間は1回の治療で2~3日間が目安です。
専用の病室内では周囲へ放射線による影響を避けるため、様々な行動制限があります。例えば、ルタテラ®静注は投与後、尿中に多く排出される事から排尿の方法の制限、面会の禁止、水分を多く摂取することなど、その他にもあります。
退院後の注意事項について
退院後も注意が必要です
退院後も周囲への影響を避けるため決めた期間、行動制限があります。例えば各投与後3日間はトイレを使用後2回流す、入浴は最後に行う、洗濯物は同居人とは分けて行う、などその他にもあります。また、投与後1週間はご家族との距離を保った生活、外出時の制限が必要になることがあります。
ご紹介時のお願い
本治療はソマトスタチン受容体陽性である事が確認された神経内分泌腫瘍(NEN)の患者さんに適用です。事前にオクトレオスキャンを実施のうえ、ご紹介をお願い致します。あるいは当院でオクトレオスキャンを実施することも可能ですのでご相談下さい。
当院では意思疎通が困難な患者さん、導尿カテーテル又はオムツを使用している患者さん、独歩が困難な患者さんは本治療の対象外とさせて頂いています。ご了承下さい。
ご予約・お問い合わせ
ご予約の診療科は「消化器内科」になります。医療機関からのご予約は、診療情報提供書に“ペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)希望”とご記載のうえ、FAXにて以下にお申し込みをお願いします。
診療日は毎週木曜日になります。
日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第一病院 地域医療連携課
FAX:052-481-5263 (直通)
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