「痛みをなるべく和らげたい」という希望に沿うべく、
総合病院の長所を生かし安全な無痛分娩を提供します。
当院の無痛分娩
無痛分娩とは、「硬膜外鎮痛」を用いて分娩時の痛みを軽減することを指します。妊婦さんの背中から硬膜外腔という場所へ細いプラスチックの管(カテーテル)を入れて、その管から薬液を注入することで意識を保ったまま、赤ちゃんにほとんど影響を与えず下半身の痛みを有効にとることができます。お産の一つの選択肢として2021年より取り扱いを開始しました。
2025年12月までは子宮収縮促進剤を使用した誘発分娩により計画的に分娩を行う完全予約制でした。しかし、特にお産を経験したことのない初産の方では思ったように分娩が進行せず何日もかかることがあります。そこで、初産の方には2026年1月より陣痛のきたタイミングで無痛分娩を24時間対応することにいたしました。ただし緊急対応・緊急手術の際には無痛分娩の開始をお待たせすることがあります。
経産婦の方はこれまで通り計画出産での無痛分娩予約を行っています。自然の陣痛が来たタイミングで無痛分娩をしたいと希望する方もいらっしゃると思いますが、急激に夜間・休日の無痛分娩数が増えることで安全性を損なう恐れがあり、ご協力をお願いいたします。
いずれにしても無痛分娩をご希望の方は妊娠33~34週の妊婦健診時に同意書をお渡ししますので、分娩開始までに下記の動画を視聴し同意書を提出ください。基本的に分娩開始後の無痛分娩希望申し出には対応できません。

無痛分娩を検討中の方へ
無痛分娩についてもっと詳しく知りたい方は、一般社団法人日本産科麻酔学会ホームページもご参照ください。
-
本当に痛みがなくなりますか?
ほとんどの場合で満足のいく鎮痛が得られます。ただし同じ量の薬を同じように使用しても人により効果には差があります。また、薬の使用を始めてから効果が出るまでに15~30分程度時間がかかります。薬を使用しても効果が乏しい場合、カテーテルの入れ替えが必要になることがあります。
-
お産にどんな影響がありますか?
硬膜外鎮痛を使用しない場合と比べて、分娩時間が少し長くなることが知られています。お産の最後の段階で吸引分娩や鉗子分娩が必要になる確率も少し高くなる傾向にあります。また、特に薬の使用時間が長くなると熱がでる場合があります。
-
どんなリスクがありますか?
硬膜外鎮痛の安全性は高いと考えられていますが、100%合併症のない医療行為はありません。特に危険な合併症を防ぐためには早期発見が大切ですので、足が動くか、耳鳴りがしないかなど何度か同じような質問をすることになりますが、ご協力をお願いいたします。また、頻度は高くありませんがカテーテルを入れるときに硬膜が破れた場合、頭痛が生じることがあります。
-
費用はどのくらいですか?
通常の分娩にかかる費用に加え8万円(麻酔開始後4時間未満で分娩になった場合は5万円)をいただきます。
-
どのような体制ですか?
当院では麻酔科専門医の指導のもと、産婦人科医師が麻酔を担当します。当院の強みとして分娩室のフロアと手術室のフロアは緊急用エレベーターで直接つながっており、緊急の際にはすみやかに麻酔科医師の応援を得ることができます。
-
誰でもできますか?
血が止まりにくい状態(血小板が10万以下など)では硬膜外カテーテルの挿入が困難です。当院では、妊娠前BMI30以上、既往帝王切開(TOLAC)、側弯症手術後、日本語でのコミュニケーションが困難な方への無痛分娩は行っておりません。また、双子で経腟分娩を希望される場合には、経産婦さんのみ無痛分娩の対象としております。