診療科・部門

脳卒中科

当科の特徴と概要

 『脳卒中』 とは、突然脳へ行く血管が詰ったり破れたりして起こる病気です。その中には、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などがあり、脳血管障害とも呼ばれています。急に、意識がなくなる、倒れてしまう、手足が動かなくなる、喋れなくなる、目がみえなくなる、物が二重にみえる、といった症状が起こります。脳卒中による年間死亡者数は、悪性新生物(がん)、心疾患に次いで多く、死亡原因の第3位を占めています。また、一度発症すると社会復帰、職場復帰できる率が他の疾患と比べて低く、手足や言葉に不自由を残し寝たきり状態に陥る可能性があります。長期の療養や介護が必要になると、ご家族にも多大な社会的経済的負担を与えることになります。

 最近まで、脳卒中は「治らない病気」と思われていましたが、近年のめざましい医療技術や医療機器の進歩、診断力の向上により、脳卒中は急性期に適切な治療を開始することにより、患者さんの後遺症を大幅に少なくできることがわかってきました。不幸にして脳卒中を発症してしまったら、できるだけ早く診断をつけて適切な治療、リハビリテーションを行い、機能障害を最小限にくいとめる必要があります。つまり、早期の診断と治療の開始が非常に重要となります。

 脳卒中科は、この様な急性期脳血管障害患者さんの診療を行う科です。現在は、神経内科と脳神経外科を中心に両科が協力して、救命救急センターを窓口とし、急性期の脳卒中患者さんを24時間体制で受け入れています。神経内科は主に脳梗塞と脳出血、脳神経外科は脳出血(手術を要するもの)とくも膜下出血の診療を行っています。基本的には、“脳卒中治療ガイドライン2009” に従って治療を行いながら、常に最新の治療法を取り入れて診療を行っております。脳梗塞の急性期診療ではtPA静脈注射による血栓溶解療法の他、カテーテルを用いた選択的血栓溶解療法や狭窄血管の血管形成術(バルン拡張術)も緊急対応が可能です。くも膜下出血の治療では、従来から行われてきた開頭手術に加えて、脳血管内手術(脳動脈瘤コイル塞栓術)による治療も積極的に取り入れ、近年治療件数も増えてきています。また、入院直後からリハビリ科との連携により早期リハビリを実施し、よりよい機能回復に努めています。

 当院では、急性期の薬物治療(点滴や内服薬)・手術・急性期リハビリテーションなどを全力をあげ集中的に行っております。それらが終了すれば、回復期リハビリの専門病院へ、そしてかかりつけ医へと「地域完結型」の脳卒中診療システムを確立していきたいと考えております。その後の在宅介護や施設入所、他院への転院などについては、当院の医療相談室(医療社会事業部)が対応しておりますので、いつでもご相談下さい。

実績

2016年診療実績(1月~12月)

脳卒中診療実績 急性期脳血管障害入院患者数 : 598例
A 脳梗塞
B 脳出血
C くも膜下出血
D 一過性脳虚血発作(TIA)
 
374例
149例
41例
34例
脳梗塞病型内訳 A BAD
B アテローム血栓性梗塞
C 心原性塞栓
D ラクナ梗塞
E その他
 42例
146例
 81例
 80例
 25例
脳卒中外科的治療、実績 A 破裂動脈瘤
B 未破裂動脈瘤
C 頸動脈狭窄症
D 脳動静脈奇形・動静脈瘻
E バイパス手術
F 高血圧性脳出血
   うち 開頭血腫除去術
      内視鏡手術
G その他
   うち脳室ドレナージ術
   外減圧術
25件 (血管内手術12件)
13件 (血管内手術13件)
 9件 (血管内手術 9件)
 4件 (血管内手術 2件) 
 2件
 7件
 2件
 5件
15件
13件
 2件

t-PA投与実績 16例(2016年1月1日~12月31日)

診療の解説

脳血管内手術の紹介

 足の付け根から血管内に通したカテーテルという極細の管を使って治療する方法です。エックス線で透視しながら注意深くカテーテルを病変部に進めてゆきます。脳動脈瘤の治療では、プラチナ製の治療用のコイルを使い、動脈瘤の中を詰めて破裂を予防します(脳動脈瘤塞栓術)。血管の中から治療するので、開頭手術と比べ患者の負担が軽く、ご高齢の方や、体の状態の悪い方でも治療が可能です。脳血管内手術は開頭手術と比べ、「小さな傷(針を刺した穴のみ)で治療ができる」「脳自体を触らずに治療ができる」「入院期間が短期間で済む」などのメリットがありますが、すべての病変の治療ができるわけではありません。しかし、今後も新しい機材が開発され続けており、治療の安全性・確実性はどんどん向上してきています。その他、血管内手術では、狭くなった脳血管を拡げるステント留置術、詰ってしまった脳血管の血流を再開させる血栓溶解術・血管形成術、脳動静脈奇形の塞栓術や脳腫瘍・頭頚部腫瘍の動注化学療法・塞栓術も行っています。

治療前 コイル挿入中 治療後
治療前 コイル挿入中 治療後
(矢印の先が脳動脈瘤)

頚動脈ステント留置術

治療前 コイル挿入中 治療後
治療前 ステント留置 治療後
(矢印の先が狭窄部)

医師の紹介

役職 氏名 学会認定医・指導医、その他資格等 専門
後藤 洋二
脳卒中科部長
後藤 洋二 日本内科学会指導医・認定内科医、日本神経学会神経内科指導医・専門医 神経内科、脳卒中
岡本 剛
脳卒中科副部長
岡本 剛 日本脳神経外科学会脳神経外科専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳神経血管内治療学会指導医・専門医 脳神経外科、脳卒中、脳血管内治療
馬渕 直紀
脳卒中科副部長
馬渕 直紀 日本神経学会神経内科専門医、日本脳卒中学会脳卒中専門医、日本内科学会認定内科医